はじめに
「手伝ってください」の一言が、どうしても言えない時期がありました。
私は右半身麻痺と高次脳機能障害の当事者です。日常のあちこちで人の手が必要なのに、その一言が出てこない。この記事は、その理由と、今どうしているかの話です。
なぜ「助けて」が言えなかったのか
見た目では分からないから
高次脳機能障害は、外から見て分かりません。麻痺は見えても、記憶が飛んでいることや、段取りが組めないことは見えない。
だから助けを求めると、「そのくらいできるでしょう」と思われている気がして、口が重くなりました。
説明が長くなるから
なぜできないのかを説明しようとすると、脳出血の話から始めなければいけません。レジの列でも、駅の窓口でも、そんな時間はありません。
説明しきれないと分かっているから、最初から頼まなくなる。これを繰り返していました。
断られるのが怖かったから
一度断られた記憶は、次の場面でよみがえります。私は記憶障害がありますが、こういう記憶だけはなぜか残ります。
言えないまま何が起きたか
一人で無理をして、時間がかかって、結局まわりに迷惑をかけました。
頼らなかったことで、かえって人に手間をかけている。それに気づいたとき、頼らないことは優しさではないんだと思いました。
その場で言葉にしなくてもいい、と決めた
言えないなら、言わなくていい方法を用意すればいい。そう考え方を変えました。
その場で説明しようとするから難しいのであって、あらかじめ用意された言葉を見せるだけなら、私にもできます。
「おねがいカード」をつくりました
必要なお願いを、あらかじめカードに書いておく。相手に渡すか、見せるだけ。それで伝わります。
たとえば「ボトルのふたを開けてください」「レジ袋に入れるのを手伝ってください」「ゆっくり話してください」。どれも、その場で組み立てようとすると出てこない言葉です。
声が出にくい方、人前で話すのが苦手な方、私のように高次脳機能障害で言葉が出てこなくなる方にも使えると思っています。
頼ることは、負けることではなかった
頼るのが上手な人は、自分にできることに集中できています。
私は今も、できないことは人にお願いします。そのぶん、自分にできることをやる。この形になってから、生活がずいぶん楽になりました。
まとめ
「助けて」が言えないのは、性格の問題でも、甘えの問題でもありません。言うためのハードルが高すぎるだけです。
だったら、ハードルの方を下げればいい。私にとってそれがカードでした。あなたにとっての形は、別のものかもしれません。
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